ドクメンタ、ミュンスター、ヴィネチア!世界の3大芸術祭を歴史をわかりやすく解説します!

ドクメンタ、ミュンスター、ヴィネチア!世界の3大芸術祭を歴史をわかりやすく解説します!

2020-03-16

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]突然ですが皆さん!世界の3大芸術祭を答えられますか?[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/02/itoharu-nigaoe-e1584053113223.jpg” name=”いとはる” type=”l”]そもそも芸術祭って何??[/voice][voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]・・・え?!!?えっと・・・(汗)[/voice][voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]芸術祭は、何年に1度に開催されるアート(現代美術)のイベントだよ。今回、紹介する芸術祭で賞や注目を取ると、アーティストのアートマーケットの売り上げだったり、展覧会のオファーが増えるらしいよ。まぁ、映画でいうとアカデミー賞やカンヌ国際映画祭に近いね[/voice][voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/02/itoharu-nigaoe-e1584053113223.jpg” name=”いとはる” type=”l”]なんか・・・すごいんだね[/voice]

世界3大芸術祭と言われるドクメンタ、ヴェネツィア、ミュンスター毎という大きな芸術祭があります。この3つは、毎年、やっていません!!

実は、2017年の時、偶然3つとも同時期に開催される滅多にない年でした。

だから、世界中のアート関係者&アートファンは、こぞっと見にいきました。私も初めてのヨーロッパ旅行を兼ねて見にいきました!

でも・・・みなさん、なぜこの3つが有名なのかわかりますか?ちょっとしたことを知ることで旅はますます楽しくなります。

なので、どうして有名なのかという疑問を解説していきます!!

ドイツのゆったりとした田舎にある「ミュンスター彫刻プロジェクト」

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ーー2017年ミュンスター彫刻プロジェクトの作品ーー

ミュンスターの始まりは?

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ーーミュンスターの全体図ーー

最初に見て欲しいの芸術祭が10年に1度に行われるミュンスター彫刻プロジェクトです!!第一回目から芸術監督を務めているカスパー・ケーニヒによって始まったアートイベントです。

きっかけは、ミュンスターの行政がジョージ・リッキーの作品を買うことを計画しました。しかし、市民から批判が相次いで起こりました。

元々、ミュンスターはカトリック教会の影響力が大きく、保守的な土地柄で、当時は現代美術の理解が進んでいなかった。結局、作品購入はやめて、地方の銀行に寄贈したそうです。

抗議を見ていたクラウス・ブスマンが現代アートへの無理解を嘆き、市民に現代彫刻の魅力を伝えなければと考えました。そこで、当時ニューヨークにいたカスパー・ケーニヒに声をかけました。現代アート界で活躍していたカスパー・ケーニヒは、ミュンスターが属するノルトライン・ウェストファーレン州生まれでもありました。

カスパー・ケーニヒは当時の最先端アーティスト10人をミュンスターに呼び集めて開催しました。これがミュンスター彫刻プロジェクトの始まりです。

在のミュンスターは?

今でもミュンスター彫刻プロジェクトのテーマは「アートと公共空間の関係」を考えること。40年間ずっと変わっていません。アートチーム、市民、行政が積極的にコミュニケーションをした上で、共同作品を創作しています。

10年もかけて展覧会を作るところは世界でもあまり見ないです。

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[col2]ミュンスター 彫刻 ドイツ 芸術祭 観光 歴史[/col2]
[col2]ミュンスター 彫刻 ドイツ 芸術祭 観光 歴史[/col2]
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ーーミュンスター彫刻プロジェクトで展示された過去の作品達ーー

街を歩くと2017年に作った作品と第1回から第5回に作った作品も何個か残してありました。

期間中にはミュンスター彫刻プロジェクトを振り返る展示がありました。感慨深いものです。

[aside type=”boader”]ミュンスター彫刻プロジェクト2017

会期:6月10日-10月1日

URL:http://www.skulptur-projekte.de/[/aside]

のちに詳しいミュンスターを行った感想は記事を書きます!どうぞ、お待ちください!

世界中のアート関係者が最も注目する芸術祭「ドクメンタ」

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ーードイツのカッセル市の街並みーー

ドクメンタの始まりは?

最も現代美術で注目していると言われるドクメンタは、ドイツのカッセルで行われます。ドクメンタは5年に1度に開催されます。

始まりは、1955年です。カッセルに在住していた美術家、建築家であるアルノルト・ボーデさんが始めたと言われます。当時、カッセルでやっていた「西ドイツ連邦庭園見本市」と言う行事を利用して、画期的な芸術祭を開催しました。

いつもの「西ドイツ連邦庭園見本市」が違いました。アルノルト・ボーデさんは、行事のテーマを「戦後ドイツの芸術の復興」を掲げました。第2次世界大戦の時に、ナチスで退廃芸術として弾圧されたモダン・アートの名誉回復するためのものだった。

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/02/itoharu-nigaoe-e1584053113223.jpg” name=”いとはる” type=”l”]モダンアートって??退廃芸術って????[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]はいはい。モダンアートは「現代美術」のことよ。第2次世界大戦の時に生まれたシュルレアリスムや抽象主義の美術運動をまとめて言うことが多いかな。

代表的な画家として、ピカソやダリなどが挙げられます。[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]退廃芸術はざっくり言うと、ヒトラーさんは近代美術が嫌いだった。近代美術の基礎を作ったのはユダヤ人からね。

だから、前衛的な表現や非ドイツ人的な表現を「退廃芸術」と名付け弾圧をしたのです。[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/02/itoharu-nigaoe-e1584053113223.jpg” name=”いとはる” type=”l”]うん???ユダヤ人が近代美術を作った??どういうこと?[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]「近代美術、現代美術の基礎を作ったのはユダヤ人」と言われてます。実際、オークションやギャラリーという美術のお金の仕組みを作ったのもユダヤ人です。

よーく歴史の教科書に載っている現代美術作家を調べると、ユダヤ人の作家や批評家が結構いるよ。[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/02/itoharu-nigaoe-e1584053113223.jpg” name=”いとはる” type=”l”]やっぱ!すげげ!![/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]以前、知り合いのコレクターさんが「アートマーケットの流れを見るポイントとして、ユダヤ人の動向は必ずチェックするね」とも言っていたしね。[/voice]

「第3回西ドイツ連邦庭園見本市」は、参加していた作家たち(パブロ・ピカソ、ピエト・モンドリアン、ジャン・アルプ、アンリ・マティス、エミール・ノルデなど)の業績を振り返る内容の展覧会でありました。「第3回西ドイツ連邦庭園見本市」は国内外から大きな反響を得ました。

以後、ドクメンタはカッセル市がスポンサーとなって、現代美術の動向を映す重要な展覧会として確立されるようになりました。

今現在のドクメンタは?

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ーーメイン会場であるフリデリチアヌム美術館などーー

ちなみに、ドクメンタの特徴は主に2つあって

[aside type=”normal”]・年によって、キュレーター(ディレクター)と呼ばれる人がテーマとアーティストを選ぶ

・受賞制度はない[/aside]

光州ビエンナーレ(韓国)、コチビエンナーレ(インド)などが世界中で開催されている芸術祭はドクメンタ式の運営方法で開催されています。日本で言うと、あいちトリエンナーレや横浜トリエンナーレがドクメンタ式でやっているよ。

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/02/itoharu-nigaoe-e1584053113223.jpg” name=”いとはる” type=”l”]なんか・・・世界中の芸術祭を見ると、ドクメンタの影響力がデカイね。[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]でもねぇ・・・最近、ドクメンタに選ばれる人が白人系のアーティストやキュレーターが多いことに批判があります。だから、2022年のドクメンタの芸術監督はジャカルタにある「ルアンルパ」の代表であるアデ・ダルマワンさんが選ばれました。アジア系の人が芸術監督を選ばれるのは初めてです。[/voice]

[aside type=”boader”]
ドクメンタ14(カッセル会場)

会期:6月10日〜9月17日

URL:www.documenta14.de

[/aside]

美術のオリンピック?!最も古くから行われている「ヴェネツィア・ビエンナーレ」

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ーーヴェネツィアにあるリアルト橋の中ーー

ヴェネツィアのはじまり

ヴェネチィア・ビエンナーレ。1895年から最も古くから開催されている現代美術の国際展覧会です。ちなみにビエンナーレはイタリア語で2年という意味らしい。

始まりは19世紀末、ヴェネツィアはイタリア統一により独立を失ってしまいました。

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/02/itoharu-nigaoe-e1584053113223.jpg” name=”いとはる” type=”l”]19世紀末って・・・え?!イタリアって最近できた国なの!?[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]最近なのかわからないけど・・・イタリアという国民国家(国)ができたのは、西ヨーロッパ諸国と比べたら新しい方かもね。
それまで、封建制度による両シチリア公国やサルデーニャ王国などの小さな国々が集まっていたのは事実だね。ちなみにドイツとほぼ同じ時期に国としてできたよ。[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/02/itoharu-nigaoe-e1584053113223.jpg” name=”いとはる” type=”l”]・・・・・・・・・[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]さらに!ドイツやイタリアが建国された時に遠いアジアの地では、日本が1868年に明治維新によって近代国家として誕生しました。同時期にできた国が第2次世界大戦で同盟を結ぶから不思議な縁だよねー[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/02/itoharu-nigaoe-e1584053113223.jpg” name=”いとはる” type=”l”]ふーん[/voice]

当時、イタリアの統一によって芸術分野ではミラノなどに押されていた。

1893年、ヴェネツィア市議会は文化の面で貢献する街にすることを決議されました。同時にウンベルト1世とマルゲリータ王妃の結婚記念に「美術展」の開催も決めました。

そして、ヴェネツィアはジャルディーニの展示宮殿で「第一回ヴェネツィア市国際芸術祭」を開催しました。会期中に約22万人の観客を集めるという大きな成果を収めました。

以後、ヴェネツィアは二年ごとに芸術祭を開催することを決めました。万国博覧会をモデルに事業の拡大を目指していきました。

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]のちにブログの下に説明するけど、万博博覧会をモデルにしたことで国別対抗戦というシステムを作っていきました。[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]個人的な考えとしては、当時のイギリス、フランスなどの対抗意識もあったかも知れないなぁ[/voice]

第2次世界大戦前は?

のちに、1930年には音楽祭がはじまり、映画祭、演劇祭と様々な部門が増えて行きました。

ビエンナーレは常に大国同士が文化の覇権を巡る戦いが多くありました。特に第2次世界大戦前は、アメリカとフランスで自国のアーティストにグランプリを獲らせようと競争を繰り広げられてました。

のちに第2次世界大戦がはじまりビエンナーレの中止が続きました。

ヴェネツィアビエンナーレ危機!

第2次世界大戦が終息し、ヴェネツィアビエンナーレが再び開催されました。

しかし、1960年代末に学生運動が盛んにありました。ヴェネツィアビエンナーレは、大国同士が文化の覇権と美術市場での値上がりを狙う舞台が強くありました。商業主義の祭典であるとして学生から多くの抗議が上がりました。

1968年は、各国の美術関係者がボイコットを呼びかけたりなど混乱が起こりました。非常に開催が危機状態にありました。

また、ヴェネツィアビエンナーレが混乱の中、展覧会を作るディレクターが運営するドイツのドクメンタが躍進しました。

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]この時代にとっては、受賞制度なし&国別対抗戦がないドクメンタの開催方法は、民主的であることに魅力を感じていたと思う。[/voice]

混乱の中、ヴェネツィアビエンナーレは大きく改革をして行きました。受賞制度と国別対抗戦は残しつつ、テーマが国重視から美術家重視へと変えて行きました。

さらに、権威の象徴として第一回から使われているジャルディーニ宮殿の展示を無しするなど改革をしていきました。しかし、以前より観客数は伸びなっかたそうです。

そこで、1980年に当時活躍していたキュレーター、美術評論家を招待して若手アーティストを紹介する「アペルト」(Aperto)部門を設けました。また、いち早く中国、日本などのアジア圏と東欧の美術作家を展示に招待していきました。

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]こうした、新しいアートシーンを取り入れたことによってヴェネツィアビエンナーレは大きく反響を呼んで世界で注目する芸術祭の1つとして君臨し続けています。[/voice]

現在のヴェネツィアは?

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ーー2017年ヴェネツィアビエンナーレで優秀賞(金獅子賞)をとったドイツ館ーー

現在、ヴェネツィアビエンナーレは、美術部門の他に映画部門・建築部門・音楽部門・演劇部門・舞踊部門(コンテンポラリーダンス)があります。

建築部門であるヴェネツィア建築ビエンナーレは2年に1度行われています。また、映画部門であるヴェネツィア国際映画祭と演劇部門である国際演劇祭に関しては毎年行われているそうです。

いずれにせよ、どれも世界で有名な芸術祭展であることは間違いはないです。

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]ちなみに、美術部門であるヴェネチィア・ビエンナーレの特徴は主に2つあります。[/voice]

[aside type=”normal”]・国別対抗戦

・受賞制度あり[/aside]

国別対抗戦は、ヴェネツィアにある「自国パビリオン」という施設があります。国ごとに設定したテーマをもとに代表アーティストを紹介していきます。参加した国の中から、毎回、優秀賞(金獅子賞)が選ばれてい来ます。

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/02/itoharu-nigaoe-e1584053113223.jpg” name=”いとはる” type=”l”]スポーツでいうオリンピックみたい![/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]そうだね。ヴェネツィア・ビエンナーレのことを「美術オリンピック」ということもあるねw[/voice]

[voice icon=”https://aya-celine.net/wp-content/uploads/2020/03/aya-nigaoe-e1584053056902.jpg” name=”AYA” type=”l”]以前、田中功起や草間彌生がヴェネチィア・ビエンナーレで賞を貰ったことがきっかけに活躍する幅が増えたなぁと感じます。今でも影響力はあるなぁと感じます。[/voice]

[aside type=”boader”]第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展

会期:2017年5月13日~11月26日

URL:https://www.labiennale.org/en[/aside]

最後に

よくアート関係者ではこんな言葉があります。現代美術の中心地はアメリカに対して「権威はヨーロッパ」と言われています。

多くのアーティストやキュレーターたちがヨーロッパの芸術祭に参加することは、大きな実績の証明書になります。

今年の個人的に注目ポイントとしては、ヴィネツィアビエンナーレが開催されます。他にも後々紹介していきますが、イスタンブールビエンナーレなどの世界中で国際展が行われています。日本ではリボーンアートフェスティバルやあいちトリエンナーレなどが注目しています。

アート作品の権威づけの他に、芸術祭は地域活性化としての側面を持っています。地方の人口不足は世界中にある先進国の共通問題であるそうです。

地域活性化という町おこしとして芸術祭は有効と考えるから、世界中で多くの芸術祭が行われているかもしれません。

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参考文献

・美術手帖2017年7月号